舞台「仮面ライダー斬月・鎧武外伝」ってどんな作品?インターネット配信で動画は見られる?
こんな疑問にお答えします。
- 舞台「仮面ライダー斬月・鎧武外伝」の作品紹介
- 舞台「仮面ライダー斬月・鎧武外伝」が見られる動画配信サービスと無料視聴方法
- 舞台「仮面ライダー斬月・鎧武外伝」のあらすじと感想
2019年3月に上演された舞台「仮面ライダー斬月・鎧武外伝」という作品は、仮面ライダーシリーズとして初めて舞台化されたもので、当時は界隈で話題になりました。
ここでは、この舞台「仮面ライダー斬月・鎧武外伝」のあらすじと感想を忘備録的にまとめました。
あわせて、インターネットで見られる動画配信サービスと、無料で見られる方法についても紹介しています。
この記事で「仮面ライダー斬月・鎧武外伝」という舞台作品について、ざっくり知ることができます。ネタバレに注意してください。
この「仮面ライダー斬月・鎧武外伝」には、「機界戦隊ゼンカイジャー」でツーカイジャー(ゾックス・ゴールドツイカー)役の増子敦貴さんが、グラシャ(仮面ライダーバロン)役で出演されています。
仮面ライダー斬月大千秋楽を迎えました。ここまで本当にありがとうございました!本当にこの作品に携われて幸せでした。グラシャが皆様の中で生き続けますように。そして素敵なスタッフさんとキャストの皆さんに感謝の気持ちでいっぱいです。あぁ仮面ライダー大好き。#仮面ライダー斬月 #グラシャ pic.twitter.com/A8TbCKZ5NU
— 増子敦貴/Atsuki Mashiko/GENIC (@atsuki_mashiko) March 31, 2019
舞台「仮面ライダー斬月・鎧武外伝」ってどんな作品?
舞台「仮面ライダー斬月・鎧武外伝」は、2013年10月~2014年9月にテレビで放映された「仮面ライダー鎧武」に登場する「仮面ライダー斬月(ざんげつ)」を主役にしたの番外編(スピンオフ作品)です。
仮面ライダー斬月に変身する呉島貴虎役は、テレビと同じ久保田悠来さん。貴虎以外の出演者は全員初顔です。
しかし、物語自体は、テレビ版のメインライターだった虚淵玄氏が監修されていて、その世界観が生かされています。
舞台「仮面ライダー斬月・鎧武外伝」はこんな人におすすめ
- テレビ「仮面ライダー鎧武」が好きな人、よく観ていた人
- 久保田悠来さんをはじめ出演者のファン
- 仮面ライダー斬月の新形態「カチドキアームズ」の初登場を見たい人
一方、テレビ版の「仮面ライダー鎧武」を見たことがない人は「予習」してからの方がいいです。
それと、ヒーローショー的なものを期待する子供には向きません。
舞台「仮面ライダー斬月・鎧武外伝」の基本情報
公演日 | 2019年(平成31年)3月公演 |
脚本・演出 | 毛利亘宏(少年社中) |
原案・監修 | 虚淵玄(ニトロプラス) |
主な出演者 | 呉島貴虎:久保田悠来 アイム:萩谷慧悟 鎮宮影正:原嶋元久 雪叢・ベリアル・グランスタイン:小沼将太 フォラス:宇野結也 パイモン後藤大 グラシャ:増子敦貴 ベリト:千田京平 グシオン:高橋奎仁 オセ:田淵累生 鎮宮雅仁:丘山晴己 鎮宮鍵臣:大高洋夫 |
上演時間 | 1時間54分 |
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舞台「仮面ライダー斬月・鎧武外伝」のあらすじ【ネタバレ注意】
物語の場所はトリキア共和国。元ユグドラシル・コーポレーションの実験場
「仮面ライダー斬月・鎧武外伝」の物語の場所は、中央アジアにあるトルキア共和国という架空の貧困国です。
かつて、そこでは巨大企業ユグドラシル・コーポレーションによって「プロジェクト・アーク」に向けての実験が行われていました。
プロジェクト・アークとは、異空間から地上を侵食する「ヘルヘイムの森」から人類を守ることできる「戦極ドライバー」(ベルト)を開発・量産するというものです。
しかし、救える人類は10億人のみ。このため、人類を選別しなければならないという矛盾を抱えていました。
このプロジェクトは、ユグドラシル・コーポレーションの中枢を握る呉島(くれしま)家と鎮宮(しずみや)家の跡取り、呉島貴虎と鎮宮雅仁(まさひと)が中心となって進められていました。
二人は、力を持つ家に生まれた者として、”ノブレス・オブリージュ”の精神で、世界を守るためには誰かがやらなければならない、人間が人間を選別するという重荷を引き受けて、準備に取り組んでいました。
しかし、その実験は結局失敗してしまいます。
貴虎が実験中の負傷のために、職場から離脱していたときに、ヘルヘイムの森との境(クラック)から大量の果実が、この国に流れ込む事態が発生したのでした。
それを食べた人々が自我を失い、化け物(インベス)となって国中に溢れたのです。
景虎の相方、鎮宮雅仁は、その被害を抑え込むため、やむなくスカラーシステムを稼働させ、国土を焼き尽くしました。そのなかで自分も犠牲となり、命を落としたのでした。
貴虎が襲われ少年たちが殺しあう地下都市に転落、記憶喪失に
その実験から8年後、呉島貴虎は再びトリキア共和国にやってきました。
現地で不穏な事態が起きているという情報を得たため、その調査にきたのです。鎮宮雅仁を犠牲にしてしまったという贖罪の気持ちを抱えながら…。
貴虎は到着早々、突如何者かに襲われ、地下都市「アンダーグラウンドシティ」の中に落ち込んでしまいました。
アンダーグラウンドシティとは、少年たちがチームに分かれて抗争を繰り広げているトルキア共和国では最も危険な場所。
国の支配層である貴族たちが、少年たちに「戦極ドライバー」を与えて、生き残ったチームだけを外の世界に連れ出すと煽り、殺し合いをさせて楽しんでいたのです。
各チームのリーダーは、戦極ドライバーを身に付け、必要に応じてアーマードライダーに変身して戦いを繰り広げていました。
その貴族たちの頂点に君臨しているのが鎮宮家で、実質上トルキア共和国を牛耳っていました。その当主である鎮宮鍵臣(かぎおみ)が、少年らを戦わせている張本人だったのです。
- チーム『俺ンジ・ライド』:アイム、パイモン、グシオン
- チーム『バロック・レッド』:グラシャ、ベリト、オセ
- チーム『グリーン・ドールズ』:フォラス
アンダーグラウンドシティに転落した貴虎は、少年のひとりアイムに助けられます。しかし記憶を全て失っていました。
そんなとき、アンダーグラウンドシティに正体不明の白いアーマードライダーが現れ、抗争する少年たちに圧倒的な力を見せつけました。
貴虎も襲われましたが、そのとき記憶の一端が甦ったのです。
「俺はアイツのことを知っている。アーマードライダー、斬月」
景虎は、少年たちの脅威になった斬月を倒すべくアイムらと共闘することにしました。
そのころ、アイムや戦極ドライバーを使うチームリーダーたちが、突然胸を押さえて苦しみだすという異変が起きていました。同時に、インベスが頻繁に出現して、少年たちを襲うようになっていました。
ある時、チーム「グリーン・ドールズ」のフォラスが、アイムらの目の前で苦しみ始め、その右腕が化け物のそれに変化したのです。
その恐ろしい現象に戦慄した少年たちは、戦極ドライバーが原因でないかと疑念を抱きます。
事実、与えられた戦極ドライバーは未完成品で、それを使い続けると、インベスになってしまうという欠陥があったのでした。
命を狙われる貴虎、さらに死んだはずの鎮宮雅仁が出現
一方、鎮宮家も貴虎を抹殺しようと目論んでいました。そこで、当主の鍵臣は傭兵である雪叢・ベリアル・グランスタインを差し向けます。
これとは別に、死んだ雅仁の弟、鎮宮影正(かげまさ)も復讐を果たそう景虎に接近していました。影正は大好きで憧れていた兄の死が、貴虎が仕組んだものだと信じて、ずっと憎んでいたのです。
貴虎は、影正とのやりとりのなかで、記憶が少しずつ甦り、自分が斬月に変身して戦っていたことを思い出します。
そこへ斬月が現れ、変身を解除しました。その正体は死んだはずの雅仁だったのです。景虎と影正は驚きを隠せません。
雅仁は語りました。カラーシステムに焼かれる凄まじい煉獄の中で、力を持つものこそが世界の覇権を握り、人々を導かなければならないという考えに至ったこと。そして、人間を超え、インベスを超え、あらたな世界の王となる力を手にしたことを。
雅仁は、そのまま鎮宮家に向かい、父の鍵臣を殺害しました。
鍵臣は、8年前呉島家に対抗して、社内における自分の地位を確固たるものしようと、準備を進めてきたスカラーシステムを独断で稼働し、実験を失敗させ、自らをオーバーロードに進化させる計画を実行したのでした。
オーバーロードとは、異空間のヘルヘイムの森の浸食を克服し、進化をとげた新しい種族のこと。
雅仁は、その犠牲になりましたが、オーバーロードとして復活したのでした。
貴虎は鎮宮雅仁と対決、少年らは自分たちの未来のために立ち上がる
貴虎は、アイムにその力を命の奪い合いに使うのではなく、すべてのチームをひとつにまとめて、戦いをやらせている貴族に対して反旗を翻せと諭します。
そして、貴虎は、世界の覇権を握ろうしている雅仁との対決を決意したのでした。
そのとき突然、アイムに”神”となった葛葉紘汰が憑依し、貴虎にロックシードを授けました。それを持って、貴虎は雅仁との対決に臨みます。
「お前との約束を果たすためにおまえを倒す、世界を守る責務を果たす」
雅仁は、貴虎に対して、自分の考えをとうとうと言い聞かせました。
いくら気高い精神をもとうとも、人間の愚かさには抗えない。人間は愚かで悪意に満ちている。俺たちは生き残るべき人間を選別しようとした。強き者を選び、弱きものを見捨てる。それが正しいと思っていた。だが、おれはスカラーシステムの焔のなかで人間の未来を見た。
選ばれて生き残った人間は必ず歪む。自分たちのように強き者は選ばれる権利がある、しかし弱者は自分たちの餌食になって当然だと。それが俺が見た未来だ。
俺は手に入れた力を使って、すべてをこの手に収める。人類の頂点に立って、強き者がその力を使って人々を導く。それが俺が考えるノブレス・オブリージュ、俺の使命だ。俺は俺の考える世界をつくる。そのためにお前をこの手で倒す。過去の自分に別れを告げるためにな、と。
景虎と雅仁の考えは一致せず、雅仁はオーバーロードの姿に変身して、貴虎に襲い掛かかりました。
貴虎は劣勢を強いらますが、葛葉紘汰のロックシードを使って、アーマードライダー斬月の新形態「カチドキアームズ」に変身して応戦します。そして、ついに貴虎は雅仁を打ち負かしました。
同じころ、アイム生き残った少年たちを結集しますが、グラシャは国を変えるためには、誰にも虐げられない強さが必要だと主張し、アイムに少年らを率いるのにどちらがふさわしいのか決着をつけようと提案しました。
アイムはそれを受け、二人はライダーに変身して交戦。結果、アイムがグラシャを倒して勝利しました。
「オレは忘れない、この手にかけた奴らのことを。罪を背負ってこれからを生きぬいてみせるっ」とアイムは誓う。
貴虎は、アイムと再会し、トルキア共和国の未来を託すと、去って行ったのでした。
舞台「仮面ライダー斬月・鎧武外伝」の感想など【ネタバレ注意】
観る前にテレビ版「仮面ライダー鎧武」の予習/復習を
主人公、呉島貴虎が登場するテレビ版の「仮面ライダー鎧武」は、先に触れたように、2014年9月に終了しました。
この舞台「仮面ライダー斬月・鎧武外伝」の時代は、それから約5年後の設定です。その世界観はテレビのままです。
つまり、この舞台作品はテレビ版があっての物語となっています。
僕もそうでしたが、「鎧武」の世界に触れるのは、テレビ以来という人も多いと思います。やっぱり、細かいことは忘れていたり、曖昧になっていたりしています。
実際、「ノブレス・オブリージュ」「プロジェクト・アーク」「スカラーシステム」「インベス」「オーバーロード」など、セリフに出て来てはじめて、「そんなんあったなー、けど何やったかな?」となりました。
もちろん、舞台「仮面ライダー斬月・鎧武外伝」では、説明的なセリフが織り込んであって配慮されています。
でも、それだけでは不十分。特に「仮面ライダー鎧武」という作品を見たことがない人には、なおさらです。
このため、舞台「仮面ライダー斬月・鎧武外伝」を鑑賞するにあたっては、テレビ版の動画を見たり、Wikipediaを読むなどして、「仮面ライダー鎧武」の記憶を新たにしたり、予備知識をある程度入れておくことをおすすめします。
その方がぜったい楽しめます。
ノブレス・オブリージュの葛藤
舞台「仮面ライダー斬月・鎧武外伝」を見ていると、場所がトリキア共和国なのに日本すぎるとか、深刻な状況でいきなり敵味方仲良く?踊りだすとか、貴虎が一介の少年に一国の行く末を任せて帰国するとか、ツッコミどころは満載です。
でも、物語全体としては、役者や舞台装置を含めて、テレビ本編「仮面ライダー鎧武」の世界観をうまく生かしていて、見ごたえがありました。
劇中で印象に残った言葉がいくつかありましたが、その一つが「ノブレス・オブリージュ」です。
ノブレス・オブリージュは、テレビ版でも時々景虎が口にしていましたが、あらためて、その意味はこちら。
身分の高い者はそれに応じて果たさねばならぬ社会的責任と義務があるという、欧米社会における基本的な道徳観。もとはフランスのことわざで「貴族たるもの、身分にふさわしい振る舞いをしなければならぬ」の意。 (コトバンクより)
呉島貴虎と、プロジェクトのパートナーの鎮宮雅仁は、自分たちが(特別な)呉島家、鎮宮家に生まれ落ちた宿命として、世界を救うために、お互いこのノーブレス・オブリージュを理想に、まじめに人間選別=50億人を抹殺する計画「プロジェクト・アーク」に取り組みました。しかし、計画は実験の失敗で頓挫。
その後、貴虎はテレビ版で、人間選別すること自体が間違った行為であることに気づかされ、自分一人だけで責務を果たすのではなく、誰かを信じて共に歩むことが「ノブレス・オブリージュ」であると悟ります。
一方、実の父親をはじめ人間の醜い部分を目の当たりにした雅仁は、自分が強大な存在となって(愚かな)人間たちを導くことが「ノブレス・オブリージュ」だと考えるようになります。
このようにノブレス・オブリージュの方向性が違ってしまった二人が最後に対決するというのが、この物語の柱の一つです。
ノブレス・オブリージュは、なかなか耳障りのいい言葉で、どちらの言い分も一理あるように感じましたが、所詮は”ボンボン”たちの勝手な理屈です。
このため、この二人が自分のノブレス・オブリージュで葛藤する終盤は、いまいち気持ちが入りませんでした。
ただ雅仁との戦いの結果、貴虎が長年背負ってきた、贖罪の気持ちを晴らすことができたという点では、めでたしめでたしでよかったです。
個人的に最終盤は、ノブレス・オブリージュの一環で、実際に貴虎が少年たちを率いて一緒になって、雅仁を含めた貴族らに反旗を翻す大戦闘をド派手に繰り広げるといった展開もよかったのではと思いました。
過去と現在が交錯しながら進行
舞台「ライダー斬月 -鎧武外伝-」では、開始早々に呉島貴虎が記憶をなくします。
物語は、その記憶を度々挿入される回想シーンを通して、ちょっとずつ思い出していくという流れで進行していきます。
ということで、ちょくちょく場面(時代)が切り替わります。もちろん映像ではないので、見ているその場がいきなり「過去」になります。
まだ登場人物も背景もよくわかっていない序盤では、何が起こったのか分からず混乱しました。中盤以降は慣れましたが、時代がいったりきたりするので、心づもりが必要です。
ただ、あらためて見返てみるとうまく工夫されています。ただ、初見では分かりにくいかもしれません。
その回想される過去は、ユグドラシル・コーポレーションがトリキア共和国に進出して実験を開始して、それが失敗する8年前まで。テレビ版の時代の3~4年前の出来事になります。
このように、舞台「ライダー斬月 -鎧武外伝-」はテレビ版の後日譚だけでなく、前日譚にも及ぶ物語です。
この点でも、やはりテレビ版の内容を知っている方が、理解しやすいと思います。
貴虎以外の登場人物はオール新顔
舞台「仮面ライダー斬月・鎧武外伝」に登場するテレビ版の人物は、久保田悠来さん演じる呉島貴虎だけです。それ以外の全員は新メンバーです。
物語の場所がトリキア共和国で、テレビ版(日本・沢芽市)とは全く別の設定なので、違和感はありません。
でも、仮面ライダー(アーマードライダー)に変身する役は、テレビ版の登場人物に似た性格に設定されています。例えば、
- チーム「オレンジ・ライド」のアイム≒葛葉 紘汰⇒ガイムに変身
- チーム「バロック・レッド」のグラシャ≒駆紋戒斗⇒バロンに変身
- チーム「グリーン・ドールズ」のフォラス≒城乃内秀保+初瀬亮二⇒グリドンに変身
- 鎮宮鍵臣に雇われた傭兵の雪叢・ベリアル・グランスタイン≒凰蓮・ピエール・アルフォンゾ⇒ブラーボに変身
アイムは、性格やセリフの内容、そして声がテレビで佐野岳さん演じる「葛葉紘汰」そのもの。よくこんな役者さんを見つけてきたなと驚きました。
グラシャは、いつも難しい顔をして、ひたすた強さを求めているというテレビの「駆紋戒斗」を意識したキャラです。
フォラスは、テレビの「初瀬亮二」と同じように右腕がインベスに変身し、最後はライダーに殺されるという悲劇の役回りです。
傭兵の雪叢・ベリアル・グランスタインは、凰蓮・ピエール・アルフォンゾ同様にオネェキャラです。ただ体型はムキムキではなく細身。テレビの城乃内秀保ようにフォラスを手なずけます。
ただ、外国が舞台なので、少年の名前はカタカナで馴染みにくいです。
このため顔と名前、そして人間関係が一致するまでに時間がかかりました(開演10分ぐらい経った途中で、字幕でさらっと人物紹介がありますが)。この点はもう少し工夫がほしかったところです。
あと、今回の出演者に女性が1人もいません。見た目にやはり華やかさ?に欠けます。ヒロイン的な存在が1人くらいいてもよかったのではと思いました。
クールすぎる主役と熱い少年たちが競演
呉島貴虎は、テレビ版と同じく、ポーカーフェイスで影のある安定のクールなキャラです。
この作品で、テレビ版でも見せる「影」の根本原因が、トリキア共和国での失敗に対する後ろめたさと贖罪意識にあると明らかになりました。
そのクールな彼が主役なので、2時間弱、低音で渋い口調のセリフが続きます。
そのうえ物語が重苦しく、場所は地下都市、そして久保田悠来さんの頬がこけて余計に「影」があって、全体に暗いです。
これに対照的なのが少年たちです。演じる役者さんはみんなアツい。
個人的に、ほとんど初めて知った俳優さんばかりでしたが、叫ぶ、喚く、泣く、怒るなど感情もろ出しの演技に引き込まれてしまいました。
特にアイム役の萩谷慧悟さん、鎮宮影正役の原嶋元久さんには感服しました。
特に原嶋さんは真に迫る演技は印象的でした。涙など観客からは見えませんが、全身全霊で演技する姿に感動。若いとはいえプロのいい仕事を見させてもらいました。
クールとアツさがいい感じに交錯しながら進行するので、飽きずに見てられました。クールだけだったら、しんどかったと思います。
仮面ライダーの登場場面は案外少ない
仮面ライダーの舞台と聞くと、僕もそうでしたが、ライダーが登場して、敵やライダー同士で戦う華麗なアクションを期待する人も多いと思います。
この舞台「仮面ライダー斬月・鎧武外伝」では「斬月」のほかに、「ガイム」風、「バロン」風、「龍玄」風、「グリドン」風、「ブラーボ」風の都合6人のライダーが登場します。
「斬月」以外のご当地ライダーを○○風としているのは、テレビに登場したライダーとは別物だからです。
試作品の戦極ドライバー(ベルト)で変身するという設定のためか、各ライダーのデザインは「ガイム」や「バロン」ですが、体(スーツ)の色が黒になっています。ヒーローの華やかさがなくて印象が違います。
ちなみに、劇中ではライダーの名前も「斬月」以外は出てきません。
これらのライダーがアクションを繰り広げますが、期待してたよりも場面が少なくて、その時間もい短めでした。
やはり、ヒーローショーではなく、歴とした”演劇”で、役者さん中心、そして物語重視なので、どうしてもライダーに変身して戦うシーンは二の次になるのでしょう。
個人的には少し残念でしたが、仮面ライダーではなく役者さんを見たい人にはおすすめです。
ライダー目当ての人には、最後の最後で呉島貴虎が変身する斬月版の「カチドキアームズ」が一見の価値ありです。暗いなかに鮮やかな白が映えて、思いのほかカッコよく思いました。
仮面ライダーのアクションは案外少なめですが、素顔?生身?でのアクション自体はちょこちょこあります。テレビ版では少なかった貴虎のアクションも拝めます。
変身シーンがすごく自然
仮面ライダーといえば変身シーンですが、演劇ではどうなるのか、気になっていました。
「鎧武」に登場するライダーの場合、変身する人間の頭に、上空から降りて来た強大な果物が被さって、それが鎧に変化するという独特な方式です。
映像ではCGを使って、いつでもどこでも好きなように演出されていますが、観客がいる舞台の上ではそうはいきません。
舞台「ライダー斬月 -鎧武外伝-」では、舞台の照明を落としたり、背後から強い光を当てたりして、観客から瞬間的に見えなくしたところで、演者が入れ替わるというパターンもありましたが、舌を巻いたのが、CG映像をプロジェクトマッピングを使ったものです。
変身する役者さんの前に、透けた幕(スクリーン)が降ろされ、そこに、果物が降りてくる映像などが映し出されます。
その間に変身後の役者さんと交代となりますが、スピーディーで不自然さがほとんどなく、テレビに近い変身描写が再現されていました。変身シーンは舞台でもテンションが上がりました。
このプロジェクトマッピングは変身シーンに限らず、全編を通して、場面の背景や武器の効果演出など多用されています。
それにしても、今さらながら技術の進歩には本当に驚きました。
まとめ:舞台「仮面ライダー斬月・鎧武外伝」を鑑賞して
舞台『仮面ライダー斬月』大千秋楽。
笑顔の絶えない最高のカンパニー。
トルキアメロンツアーにご参加頂いた皆様ありがとうございました!
いつも最高の出逢いをくれる呉島貴虎。
ありがとう出逢いくれる島貴虎。#仮面ライダー斬月 #呉島貴虎 #久保田悠来 #メロン修学旅行生とツアーの皆様 pic.twitter.com/E19dA1pICD— 久保田悠来 (@yuk1_kbt) March 31, 2019
舞台「仮面ライダー斬月・鎧武外伝」は、仮面ライダー史上で初めての舞台演劇化された作品です。
特にテレビ版「仮面ライダー鎧武」好きや、久保田悠来さんをはじめとする出演者のファンにおすすめ。
変身後の仮面ライダーが目当てだったり、ヒーローアクションショー的なものを期待している人には向きません。
そして、物語はテレビ版の世界観や設定を踏襲しているので、鑑賞する前にテレビ版を「復習」、鎧武が初めての人は「予習」しておいた方が、より楽しめます。
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